研磨剤スラリーを使用しない砥粒内包型研磨工具 「LHAパッド®」の開発による産業廃棄物削減への貢献
株式会社ノリタケカンパニーリミテド
名古屋市西区則武新町三丁目1番36号
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独自の技術により、半導体の研磨工程において、加工時間の短縮、品質の向上を実現するとともに、産業廃棄物となる研磨剤スラリーを使用しない新しいコンセプトの研磨工具を開発したことは、環境負荷の低減と循環型社会の形成に大きく貢献するものと高く評価された。
電気自動車や次世代新幹線などのモーター制御装置には、パワー半導体*という部品が使われている。この部品の材料は現在、シリコンが主流だが、今後、発熱量が少なく効率的で小型化が可能なSiC(シリコンカーバイド) が主流になると言われている。
SiCは非常に硬いため、従来方式では加工時間やコストがかかるうえ、産業廃棄物となる研磨剤スラリーを多量に使用しており、環境負荷の低減も課題となっている。
ノリタケは、研磨剤スラリーを使用せずに、短時間でSiCを加工できる研磨工具「LHAパッド®」を開発した。
※パワー半導体…高い電圧、大きな電流を扱うことができる、通常の半導体とは違った構造を持つ半導体
LHAパッド®は、細かな網目状の特殊樹脂に研磨剤が内包された独自構造(半固定砥粒構造)
多数の研磨剤が樹脂の中で転がりながらSiC基板に均等に当たるため、高い研磨能率(加工時間60%短縮)と高面品位(歩留まり25%向上)を両立
従来方式では研磨能率重視の1次研磨と面品位重視の2次研磨を組み合わせた2工程であったところを、LHAパッド®を用いることで1工程に短縮が可能
酸性からアルカリ性まで、広範囲のpH条件下で使用できる独自の素材と構造により、従来のパッドに比べて5倍以上の寿命を実現
LHAパッド®の普及により、半導体製造時の研磨剤スラリー等から生じる産業廃棄物の削減に貢献できる。
半導体材料だけでなく、ガラスや金属の研磨にも使用が見込まれ、より多くの産業廃棄物の削減につながることが期待できる。
加工時間を短縮できるため、エネルギー消費の削減にも貢献できる。